

インタビュアー:本日は、社労士事務所をこれから開業される方へのメッセージとして、独立開業を成功させるポイントについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
山下:よろしくお願いします。さっそくですが、社労士事務所を成功させるためには、まずその前提として社労士という仕事の本質を掴む必要がありますね。社労士の仕事って何だと思いますか?
インタビュアー:社労士の仕事ですか?月並みな言い方ですけど、人事のエキスパートですか?
山下:そうですね。企業経営の3要素ヒトモノカネのうち、社労士はヒトに関するエキスパートです。もう少し、掘り下げて言うと『ヒトに関するリスクマネージャー』であるということです。例えば、ここ数年、外国人雇用や高齢者雇用に関する法改正がありましたが、その内容について知らない経営者が多々います。つまり、リスクを抱えたまま企業経営をしている状態です。社労士は、コンプライアンスを含めて、企業に存在するリスクの管理方法を指南していく、それが社労士の仕事の本質です。
インタビュアー:なるほど。ヒトに関する仕事といっても、幅が広くてピンときませんが、そのように言っていただけるとわかります。でも、先ほどの例で、そもそも外国人雇用の問題は、行政書士さんのフィールドではないのですか?


山下:そう、それはいい質問です。確かに、就労ビザの取得は行政書士の業務です。でも、そのほか外国人を企業で雇用する、ということは、企業側から見ると、人事問題ですよね。それなのに、ヒトに関するエキスパートであるはずの、社労士が「わかりません。」と答えたらどうですか?
インタビュアー:この社労士はダメだな、って思ってしまいます。(笑)
山下:そうでしょう。そんなことで、経営者と信頼関係が築けるはずがありません。
インタビュアー:でも、社労士試験では、外国人雇用について勉強していないですよね?合格後に、自分で勉強しなければならないってことですか?
山下:そうです。何も外国人雇用に限った話ではなく、実務では、試験科目になっている専門の法律では食べていけません。その分野の知識があることは当たり前だからです。ここに、独立開業を成功させるカギの一つがあります。ずばり、経営者の信頼を得るには、周辺知識を豊富に持つということです。例えば、その業界のこと、その企業がおかれている環境に関連すること、などです。これらの知識を持って、経営者と同じ目線で会話ができれば、信頼され、頼りにもされる社労士になることができます。
インタビュアー:なるほど。でも、そういった周辺知識ってどうやって身に付ければ良いんですか?
山下:要は、「経営者と話ができる知識」という事ですから、その経営者の悩みをまず知る事です。そして、相手が興味ある分野の業界本、小説、インターネット、現代は、情報はいたる所に転がっています。
あと、社労士をヒトに関するリスクマネージャーと捉えた場合には、ダグラス・マグレガーのXY理論や有名なパレートの法則などは常識として抑えておかなければなりませんね。
インタビュアー:わかりました。でも、周辺知識が経営者との信頼関係を築く上で重要だとしても、実際の仕事としては、専門分野の仕事が当然、多い訳ですよね。
山下:その通りです。それでは、次に専門分野の提案で仕事を獲得していく事についてお話ししましょう。